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三田図書館・情報学会誌論文(論文ID LIS003059)

著者
Hunt, Hannah
和文タイトル
Young Adults and Libraries: Crisis or Challenge?.(青少年と図書館:危機か前進か)
英文タイトル
Young Adults and Libraries: Crisis or Challenge?
掲載号・頁
No.3, p.59-69
発行日
1965-07-01
和文抄録

まず,青少年に対する図書館活動の諸問題を論ずる前に,青少年を意味する用語の定義を行なっている。“adolescent” は,図書館活動の分野でよりも,心理学その他の研究部門で,青少年を意味するのに適した用語であり,また,一般的に使用される “teen-ager” は十代前半の low-teen を意味し,17才程度の high-teen は,“teen-ager” と呼ばれることを喜ばない。従って,“young adult” という用語が,最も包括的である。つまり,年令的にも,teen-ager 全体を含むと同時に,“student” 以外の青少年をも含みうるという点に於て,最も図書館活動に適した用語である。以上の如く定義された青少年に対する公共図書館活動の意義と問題点について,日本における適用を考慮しつつ,アメリカにおける現状を報告したものである。

アメリカに於て,青少年人口の増加は,近年著しいものがあり,1965年度末までの全人口の約半数が,25才以下の年令層によって占められる。それと同時に,知識の領域の拡大は,史上稀にみるものであり,今日の青少年は学習,教養,娯楽の面でも,多くの問題をかかえている。

更に,社会の急激な変化が,あらゆる意味で青少年に過重な経験を強要し,前世紀の青少年と比較にならない程の人間的均衡と,判断力と,意欲を,今日の青少年は必要とするに至っている。

このような時代に於て,公共図書館は,青少年に対して何をなすべきか。まず,読書の強制でなく,選択の機会を与えること。特に生涯の方針を決定する重要な時期であるために,客観性のある fact を豊富に供給することが重要である。そして,その中からものの価値を見出す機会を与えるべきである。そのためには,図書館資料も“青少年用”のラベルを貼って,内容を限定すべきではなく,より融通性のある資料の配置及び取り扱いが望ましい。

また,図書館の専門職員については,児童図書館員が,特殊な専門性を持つと同様,young adults を対象とする図書館員の専門的訓練が必要である。特に,成人図書の中から青少年に適した図書を選択する原則とその方法を専門的知識に加えなければならない。

アメリカに於ては,young adults に対する公共図書館活動は,すでに40年の歴史を持つが,多くの失敗もあった。例えば,成人用図書の中に,星印その他で,青少年向きの本を区別した場合,逆に,青少年がそのマークされた図書を避けて,他の成人図書を手にとるとか,或いは,児童室に隣接した青少年室は,全く利用されなかったなど。また,独立した青少年部門が,年とともに無用の長物化した例などもある。

このような失敗から得られた教訓は,独立した部屋や,ぜいたくな環境が必要なのではなく,青少年の要求と,それをみたす資料に関する知識を備えた図書館員の存在が,最も重要であるということであった。

また,公共図書館が,活動の方針決定や,利用者の習性把握について独善的であったのも,重要な欠陥の一つである。つまり,社会学者,心理学者,教育学者など,他の研究分野の専門家たちの見解を,より積極的にとりいれるべきである。

今日,young adults に対する専門図書館員の必要性は,充分に認識されるようになってきた。しかしながら,その要求をみたすことのできる専門家が,量的に教育されているわけではなく,むしろ,不足が痛感されているとすれば,その要求をみたすためには,図書館学校における,この種の専門図書館員養成の長期計画が必要である。と同時に,すべての公共図書館に於て,館員の少くとも一人は,young adults を対象とする活動に専念できるような in-service training と人員の配置が行なわれなければならない。

更に,成人利用者の中で大きな比重を占める young adults が利用する資料の選択の tool が,より多く,より適切に,しかも,頻繁に作られることが必要となる。

(S. W.)

種別
原著論文