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三田図書館・情報学会誌論文(論文ID LIS003091)

著者
Lyle, Guy R.
和文タイトル
The University Library in the Self Survey Program of the Southern Association of Colleges and Secondary Schools, Inc.(米国南部大学等基準協会の自己調査制度と大学図書館)
英文タイトル
The University Library in the Self Survey Program of the Southern Association of Colleges and Secondary Schools, Inc.
掲載号・頁
No.3, p.91-96
発行日
1965-07-01
和文抄録

南部大学等基準協会は米国の6つの地域基準協会の1つであり,その認定業務の一環として大学の調査を行ってきたが,1955年から大学の自己調査をも認定資料に含めるようになった。自己調査は大学が協会の許可を得て行うもので,調査が完了すると自己調査報告書は協会の実地視察団員に送られ,その後実地視察団は現地に赴き,教授団,当局者,図書館員等に面接し,自己調査の精度を評価した後,勧告書を作成する。

図書館 自己調査において,大学図書館は重要なポイントであり,通常図書館調査小委員会が設けられ,その報告はほとんど例外なく自己調査報告書の中の1章を形成する。またカリキュラム,大学院課程,研究,財政などに関する小委員会もそれぞれの調査報告の中で図書館について言及している。この基準協会の図書館自己調査は元来この地域の基準協会の制度に基づくものであるが,一般の図書館調査にも適用することが出来よう。

たいていの図書館は,いつも何らかの自己調査,将来計画をしているものである。また年次報告,その他の図書館の報告は図書館の通常業務の一部として数多く作られている。しかし基準協会で言う自己調査とは全学的調査であり,正確を期して長所短所を合わせて摘出しなければならない。原動力となるのは学長であって,もろもろの問題に関連して図書館調査を行う目的をはっきり学長が述べることは図書館にとっても,図書館調査小委員会にとっても大いに役立つものである。図書館調査小委員会はたいてい何人かの教員と館長がメンバーになるが,問題が重大である場合には,評議員,理事者,教授団,校友,図書館側というような構成メンバーになることもある。データが集められ評価が済むと,勧告書が作られる。調査報告書の内容については,協会の自己調査手引書に書かれているが,要は自館の状況に適合した内容を盛るべきである。

調査対象 総合的調査がよいか,それともその館の当面している最も重要な問題だけに絞るべきかは問題のあるところである。総合調査ならば,普通,図書館の目的,経営管理組織,図書館資料,目録分類,施設,人事,サービス,財政というように広範にわたっているが,勧告の焦点がぼけてしまう傾向が見られる。調査を重点的に絞った場合は,最も重要な問題点がはっきりすることが多い。

自己調査の際に最も重要なことは,図書館とその大学の学事の関係と図書館の蔵書評価の2つである。図書館の技術面も調査しなければならないが,余りそのような部門に拘泥すべきでない。具体的に言えば,次のような事項は問題としなければならないものである。図書委員会の活動,理事会,評議員会,カリキュラム委員会,大学院研究科委員会,施設新築委員会等に図書館を重視させるための大学当局の施策,学生の図書館利用。学生に対する強力な図書館利用教育の推進。学部学生,大学院学生のための蔵書の評価。図書館資料の増加。学部学科の研究資料不足の対策。このような問題は必ずしも簡単に解決するとは限らない。又調査データからの解釈が難しい場合もある。図書利用に関する統計数値の意味も難解であり,蔵書の質を評価することも難問である。しかしこのような問題も,ある程度正しく実体を把握する方法もある。

自己調査の価値 自己調査の価値は,後に今一度自己調査をして勧告に沿ってどれだけ改善したかを検討しなければ,はっきりとわからないかもしれない。ただ,自己調査実施中に問題が摘出され,改善費も余り多く必要としないときには,ただちに改善しうる場合も多々ある。調査をしているうちに教員や当局者が図書館をよく理解し,図書館の方針を強く支持するようになることもしばしばあるし,また自己調査の結果として図書館員が行くべき方向をはっきり知るようになるが,これらは大きな収獲である。もし勧告された事項が改善されないまま放置されていれば,自己調査の勧告書を学長,評議員会,図書委員会,教授団,図書館職員などに対して有効に利用し,改善促進の具に供することも出来る。

(T. S.)

種別
原著論文