三田図書館・情報学会誌論文(論文ID LIS028011)
- 著者
- Bryant, Philip
- 和文タイトル
- The Library Catalogue: Current State and Future Trends with Special Reference to the UK.(図書館目録:英国の現状と将来)
- 英文タイトル
- The Library Catalogue: Current State and Future
- 掲載号・頁
- No.28, p.11-20
- 発行日
- 1991-03-31
- 和文抄録
近年の英国では,共同目録作業への参加や,各館での簡略な目録作成が可能になってきたという状況を前提として,目録作業が軽視される傾向が出てきている。目録作業の合理化それ自体は歓迎されるべきことであるが,現実には様々な閤題点がある。そこで,本論文では目録作業に関わる現在の状況を分析し,その認識に基づいて将来の OPAC が目指すべき方向を探る。
英国の目録作業について考慮されるべき点は主に以下の三点にまとめられる。
①図書館の総合的な機械化によって,図書館はより早い段階において書誌レコードを求めるようになってきており,そのためより多様な情報源から得る方向へ向かっている。
②図書館にとって,出版流通における書誌データは,情報源としての重要性を増している。一方出版社,書店など出版流通に関わる側も効率的な書誌レコード作成について大きな関心を持っており, MARC の利用や AACR2 の意義についても議論がなされている。
③ OPAC および広域ネットワークの発展に伴い,書誌レコードについては書誌記述の必要性よりもむしろ解題や,主題情報を入れることにより大きな関心が向けられている。
一方 OPAC は利用者の間で好まれているが,英国の OPAC への取り組みは遅れをとっている。 OPAC が利用者に好まれる理由には,①特定の文献について利用できるかどうかの情報を得られる,②その多くは自然言語で探せる,③様々な場所でアクセスすることができる,という点が考えられる。しかし同時に問題点として,利用者がシステムを過信する傾向,および利用者にとってシステムが不透明なことが挙げられる。したがって,今後一層の研究開発が行われ,さらにその成果が実際のシステムに取り入れられることが期待される。
具体的には以下の二点を今後の課題として提案する。一点目は,「基本記入」を廃止し,統一タイトルの下に諸版を集めることによって,利用者が多すぎる検索結果に困るという問題を多少なりとも解決できるであろう。二点目は,データを理解しやすいものとすることである。データが理解しやすいかどうかは,①データの性質,②コマンドやプロンプトの明確性と一貫性,③表示の質,④余白のとり方やレイアウトが適切かどうかに依存しており,インターフェイスおよび,データの表現を改善することが OPAC の今後の課題として求められている。
- 種別
- 原著論文